「鯉のはなシアター」は2018年に上映された少し前の映画なんですが、2021年2月現在、沖縄市にあるシアタードーナッツで上映中です。
たまたまFacebookで映画館オーナー宮島さんの熱い投稿をみつけて、ぜひ映画館で見てみたい!と思い上映終了日の2月17日ギリギリに足を運びました。
結論から言うと物凄く面白くて、見にきて良かったと大満足でした。
宮島さんも思い入れが強すぎて、本当は2月17日までの上映予定だったのを3月6日(土)まで延長したみたいです。
今ならまだシアタードーナッツで「鯉のはなシアター」を見ることができるので、気になった方(特にスポーツ好きな方)はぜひ足を運んで欲しいです!
※これから先は映画の感想を書きますが、若干のネタバレも含みますのでまだ見てない方はご注意ください。
鯉のはなシアターの概要

主人公は役者になる夢を諦めて東京から広島に帰ってきた奥崎愛実。
地元の商店街には大好きな祖父が経営しているピジョン座という映画館があるのですが、祖父は「ピジョン座は年内で閉館する」と言い出します。
突然の出来事に混乱する愛実や商店街の人々。
そこに自称、経産省の役人と名乗る徳澤という男が現れます。
徳澤は広島カープの実際にあったエピソードを参考に映画館を復興させるためのコンサルをはじめますが…
といった、小さな映画館の復興の話です。
映画を観て感じた事
ここからは、この映画をみて感じた事・考えた事をまとめていきたいと思います。
広島の街の雰囲気が素敵
僕が映画を見る時に、けっこう重要視しているのが舞台となる街の雰囲気です。
SF映画などの作り込まれた世界観の街も好きですし、ヒューマン映画の少し寂しげな路地裏とかもグッときます。
この【鯉のはなシアター】でも広島の街並みがとても魅力的に映り込んでいて、「コロナが収まったら、広島に旅行にいって路面電車に乗ったり商店街を歩いたりしたいな」と映画を見ていて思いました。
冒頭のシーンでタクシーの運転手さんの「広島はいい街だよ〜」というセリフがあるのですが、本当に「いい街」感がすごく出てるんです。
多分、広島の人達は広島の街が大好きなのでしょう。
潰れそうな映画館ピジョン座も
と思っていたら、上映後に聞いた話によると、実際に広島の街にあった閉館した映画館で撮影をしたそうです。
僕は大学生の頃熊本で、ピジョン座みたいな街の映画館で働いていたので余計にグッときました。(広島と熊本は商店街の雰囲気も似ている)
広島市民とカープの歴史・絆
この映画を見ていると、広島カープの歴史を知る事ができます。
他のプロ野球チームと違い親会社を持たない市民球団である貧乏チームのカープがどうやってピンチを乗り越えてきたのか。
原爆を落とされた広島という街に、どれだけの希望をもたらしてきたのか。
当時の写真や映像も交えつつ、実際にあったエピソードがいくつも登場します。
中でも1番印象に残っているのは、お金が払えないカープに野球用品を提供しつづけて倒産してしまったスポーツショップの話です。
主人公の愛実は「なぜ、そのスポーツショップは倒産するまで無償で提供しつづけたのだろう?」と祖父に疑問を投げかけます。
すると祖父は「原爆が落ちた後の広島の街は悲惨だった…お金が返ってこない事をわかっていても市民を元気づけるためにカープに野球用品を提供しつづけたんだろうね。それだけカープはみんなの希望だったんだよ」と答えます。
利益うんぬんではなく、みんなの希望のために無償で商品を提供しつづけるなんて…
人のために何かをできる人間はカッコいいなと感動しました。
僕も自分の利益を最優先にするのではなく、人のために動ける人間になりたいと思いました。
そのスポーツショップの家族は倒産後、広島の街を去ったそうですが、新しい街で成功してて欲しいな〜と心から思いました。
地域に愛されるプロスポーツチームの可能性
劇中で「広島にある商品にはなんでもカープのロゴがついているね」というセリフがありましたが、それだけカープが地域に根付いていて愛されているのでしょう。
地元に愛すべきスポーツチームがある。それはとても幸せなことだな〜と、この映画を見て改めて感じました。
スタジアムで試合を観るのも楽しいですが、地元の居酒屋さんなどで美味しいご飯とお酒を飲みながら観るのも良し。もちろんお家でリラックスしながら観るのも至福の時間です。
この映画のクライマックスではカープが27年ぶりのセリーグ優勝を成し遂げるのですが、その時の街の盛りあがり方が凄い!(おそらく実際の映像を使っている)
街中の喜びが爆発していて、みんな心の底から嬉しそうなんです。
僕もあんな風に、周りのファン達と好きなチームの優勝をわかちあいたいな〜と羨ましく思いました。
主人公の成長
東京で夢がやぶれ、これからどうしていいかわからなかった主人公の愛実は、現実をなかなか受け入れられず見て見ぬふりをしていたのだと思います。
実家に返ってきたものの、父親に「役者など目指してないで身の丈にあった人生をおくりなさい」と説教され、居心地の悪さからか祖父の映画館復興を手伝います。
最初はあまり乗り気ではなかったと思いますが、少しずつ少しずつ自分と向き合っていくうちに、自分の本当にやりたい事が見えてきます。
正直、最後の展開は割と早いうちから想像できましたが、それでも成長して晴れやかな表情になっていく主人公を観ているのは気持ちが良いものでした。
僕も自分が人生をかけて打ち込める事が何なのか、今のままでいいのか自分でもよくわからなくなります。
でも、主人公の愛実のように最初は乗り気でなかったとしても、何かに必死で取り組んでみようと思います。
もしかしたら意外なところで自分の居場所がみつかるかもしれません。
まとめ
僕は野球ファンでもないし、カープについてもそこまで知らないのですが、めちゃめちゃ楽しく見ることができましたし、最後は感動で泣きそうになりました。
最近は配信サービスが主流になり映画館に行かなくなった人も多いと思います。
が、やっぱり映画館で観る映画は格別です!
だって、映画館で観る映画は1.5倍増しくらい面白く感じますもん。
今、コロナの影響もあり経営の苦しい街の映画館がいっぱいあると思います。
なにか気になる映画が街の映画館でやっていたら、ぜひ映画館まで足を運んでみて欲しいです。
僕も1ヶ月に1回くら映画館に通いたいな〜とそんな気持ちになりました。
映画館最高です。
なんか途中から映画館の話になっちゃいましたが、映画館に通いたくなるほど面白い映画だったという事ですね。
あ、あとチュートリアルの徳井さん演じる徳澤も哀愁がただよっていていい感じでした!

シアタードーナツとは

シアタードーナツは沖縄市の胡屋バス停の目の前にあります。
手作りのドーナツを食べながら、まるで家にいるみたいにくつろいで映画を楽しむことができる小さな街の映画館です。
まさに、鯉のはなシアターに出てくるピジョン座のような。


[住所] 沖縄市中央1-3-17(沖縄市胡屋バス停前)
[電話番号] 070-5401-1072
[公式サイト] https://theater-donut.com/
[営業時間] 10:30〜最終上映が終わり次第
[休日] 年中無休 ※年末年始を除く